ミュージアムにおける学びとリテラシーについて
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HIRANO Tomoki
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大学院生
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福田珠己
『人間科学論集』(30) pp.1~25 1999年
一宮市博物館で行われた、身近な地域のくらしに関する小学生対象の企画展において、来館者がどのように「昔のくらし」を受けとめ、理解しているのか、エスノグラフィックな分析を行い明らかにしていく。調査は1週間にわたり、あらかじめ設定しておいたポイントを中心に、ビデオカメラ、MDレコーダーで人々の会話をできる限り記録するというやり方で行われた。
今回は準備的な研究ではあったが、地域による差、物から引き出される過去の経験、現在との比較など、博物館では展示メッセージに関わる/関わらないさまざまな語りが起きており、多様な語りや体験が相互作用しあう場であることが分かった。
たしかに調査の手法としてはかなりゆるく、分析もうまく行っているとは言えないが、博物館の展示室で起こっている出来事を丸ごと捉えようとしたことは面白い試みであったと思う。展示のメッセージがどれだけ伝わったかを調べるだけが、来館者研究ではないのだ。
『人間科学論集』(30) pp.1~25 1999年
一宮市博物館で行われた、身近な地域のくらしに関する小学生対象の企画展において、来館者がどのように「昔のくらし」を受けとめ、理解しているのか、エスノグラフィックな分析を行い明らかにしていく。調査は1週間にわたり、あらかじめ設定しておいたポイントを中心に、ビデオカメラ、MDレコーダーで人々の会話をできる限り記録するというやり方で行われた。
今回は準備的な研究ではあったが、地域による差、物から引き出される過去の経験、現在との比較など、博物館では展示メッセージに関わる/関わらないさまざまな語りが起きており、多様な語りや体験が相互作用しあう場であることが分かった。
たしかに調査の手法としてはかなりゆるく、分析もうまく行っているとは言えないが、博物館の展示室で起こっている出来事を丸ごと捉えようとしたことは面白い試みであったと思う。展示のメッセージがどれだけ伝わったかを調べるだけが、来館者研究ではないのだ。
本稿では、展示室での観察を通じて、多様な視点から語られた「地域の昔」のもつ特徴の一端を引き出してきた。語られた昔はいかなるものか、また、その語り口がいかに多様であるか、昔を説明する位置の違いや博物館そのものに対する人々の反応などに注目することによって、優勢な意味とその生成だけに注意を払うような解釈では解き明かせない博物館の意味に、わずかではあるが接近していった。博物館という表象は決して優勢なメッセージのみで満たされているものではなく、多様な語りや体験が交差し影響を及ぼしあっているものなのである。pp.23
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橋本裕之
『民族學研究』62(4) pp.537-562 1998年
社会科学や人文科学の世界で文化の政治性が問われるようになる中、博物館をテクストとして読み解くアプローチが増えてきている。しかし、実際の博物館において現実に生起している出来事をエスノグラフィックに記述する研究はあまりない。この研究はその視座に立ち、博物館における物を介したコミュニケーションが、屈折したインターラクティブ・ミスコミュニケーションとでも呼びうるものであるとする。その自体を理解するべく、最近の民俗学で適用されているパフォーマンスアプローチ、演劇のメタファーを持って博物館を見る必要性を提起している。
博物館と来館者のコミュニケーションとして展示を捉えるミュージアム・コミュニケーション論とは一線を画し、そもそもそこで起こっているのはコミュニケーションではなく、演劇における演者と観客の関係のようなインターラクティブ・ミスコミュニケーションであるとする発想が面白い。演劇のメタファーを使うことで、ミュージアムにおけるコミュニケーションをうまく捉えられる気がする。
『民族學研究』62(4) pp.537-562 1998年
社会科学や人文科学の世界で文化の政治性が問われるようになる中、博物館をテクストとして読み解くアプローチが増えてきている。しかし、実際の博物館において現実に生起している出来事をエスノグラフィックに記述する研究はあまりない。この研究はその視座に立ち、博物館における物を介したコミュニケーションが、屈折したインターラクティブ・ミスコミュニケーションとでも呼びうるものであるとする。その自体を理解するべく、最近の民俗学で適用されているパフォーマンスアプローチ、演劇のメタファーを持って博物館を見る必要性を提起している。
博物館と来館者のコミュニケーションとして展示を捉えるミュージアム・コミュニケーション論とは一線を画し、そもそもそこで起こっているのはコミュニケーションではなく、演劇における演者と観客の関係のようなインターラクティブ・ミスコミュニケーションであるとする発想が面白い。演劇のメタファーを使うことで、ミュージアムにおけるコミュニケーションをうまく捉えられる気がする。
だが、博物館においてもパフォーマンス的な状況は存在している。それは演者と観客の対面的なコミュニケーションというよりも、物(を展示する担当者)と来館者が時間差と空間差をはらみながら構成する屈折したコミュニケーションによって成立している。したがって、くわしく後述するが、演者が自分の身体を用いることによって上演される通常の演劇よりも、演者が背後に隠れて物を操作することによって上演される人形劇に近い構造を持っているといえるかもしれない。いずれにしても、来館者は一方的に展示のメッセージを供給される受動的な存在を意味していない。むしろ展示されたものを解釈するという意味で展示におけるパフォーマンスの主体であり、観客であるのみならず演者でもあるということができるのである。pp.540
松岡葉月 安達文夫
『情報処理学会研究報告』2006-CH-70 pp.45~52 2006年
歴史展示と来館者の関わり方を明らかにするため、教員向けの「私の歴博ガイドブック」という学習プログラムを利用して調査し、量的分析を行った。「歴博ガイドブック」では、1時間の間に被験者一人ひとりが作品を選び、作品の解説、どうしてそれを選んだかの説明などをワークシートに記入した。ここでのワークシートの作り方を展示との関わり方としたとき、I.受動的/II.能動的、A.思考的/B.情緒的、a.主観的/b.一般的の3つの関わり方の組み合わせで、合計8通りの関わりの型が見られ、それは被験者の中で固定的であることが分かった。
『情報処理学会研究報告』2006-CH-70 pp.45~52 2006年
歴史展示と来館者の関わり方を明らかにするため、教員向けの「私の歴博ガイドブック」という学習プログラムを利用して調査し、量的分析を行った。「歴博ガイドブック」では、1時間の間に被験者一人ひとりが作品を選び、作品の解説、どうしてそれを選んだかの説明などをワークシートに記入した。ここでのワークシートの作り方を展示との関わり方としたとき、I.受動的/II.能動的、A.思考的/B.情緒的、a.主観的/b.一般的の3つの関わり方の組み合わせで、合計8通りの関わりの型が見られ、それは被験者の中で固定的であることが分かった。
これまでには、展示を作る側の意図がどのように伝わるかという点から、利用者の展示内容の理解度をどう図るかについては研究が成されているが、利用者が展示とどのように関わるか、つまり、展示を作る側の意図が伝わっているか否かではなく、利用者が展示物から発信される情報をどのように受け取るかに関しては評価方法が確立されていない。pp.46
安部友啓 古賀靖子
『学術講演梗概集. D-1, 環境工学I, 室内音響・音環境, 騒音・固体音, 環境振動, 光・色, 給排水・水環境, 都市設備・環境管理, 環境心理生理, 環境設計, 電磁環境』2000 pp.437-438 2000年
美術館の視環境ということで、展示室内の照明設計指針を提示するため、福岡市内の美術館の常設展示室について調査を行った。小作品展示室は作品ごとのスポットライト、日本画・工芸展示室は照明を施した展示ケース、常設モダンアート室は全般照明という視環境の違いが見られ、それぞれの室を細かく見ると照明の反射光が目に入るなど、必ずしも良好な状態ではなかった。
照明に着目した調査だが、美術館を「見る」ときの「視環境」というのはもっといろいろなものがありうる。人は美術館で何を見ているか、その全てを把握するのは難しい。
『学術講演梗概集. D-1, 環境工学I, 室内音響・音環境, 騒音・固体音, 環境振動, 光・色, 給排水・水環境, 都市設備・環境管理, 環境心理生理, 環境設計, 電磁環境』2000 pp.437-438 2000年
美術館の視環境ということで、展示室内の照明設計指針を提示するため、福岡市内の美術館の常設展示室について調査を行った。小作品展示室は作品ごとのスポットライト、日本画・工芸展示室は照明を施した展示ケース、常設モダンアート室は全般照明という視環境の違いが見られ、それぞれの室を細かく見ると照明の反射光が目に入るなど、必ずしも良好な状態ではなかった。
照明に着目した調査だが、美術館を「見る」ときの「視環境」というのはもっといろいろなものがありうる。人は美術館で何を見ているか、その全てを把握するのは難しい。
佐々木康 山口満
『学術講演梗概集. E-1, 建築計画I, 各種建物・地域施設, 設計方法, 構法計画, 人間工学, 計画基礎』1997 pp.821-822 1997年
美術館の“天井”“右側の壁”“床”“左側の壁”に4分割された領域が「繰り返し」「継続」「途切れ」などの視覚的構成の系列にどうあてはまるかを、長野県内15の美術館で調査。空間文節には視線を集める「集中タイプ」、床が視線を止める「床止めタイプ」、逆に視線をつなぐ「床つなぎタイプ」の3種が考えられ、床は基本的空間タイプを得る上で重要な領域であることが分かった。
空間にフォーカスした調査で、とにかくまず空間をどう構成するかに眼目が置かれている。そこではその空間を通り過ぎる具体的な来館者のことは考えられていない。
『学術講演梗概集. E-1, 建築計画I, 各種建物・地域施設, 設計方法, 構法計画, 人間工学, 計画基礎』1997 pp.821-822 1997年
美術館の“天井”“右側の壁”“床”“左側の壁”に4分割された領域が「繰り返し」「継続」「途切れ」などの視覚的構成の系列にどうあてはまるかを、長野県内15の美術館で調査。空間文節には視線を集める「集中タイプ」、床が視線を止める「床止めタイプ」、逆に視線をつなぐ「床つなぎタイプ」の3種が考えられ、床は基本的空間タイプを得る上で重要な領域であることが分かった。
空間にフォーカスした調査で、とにかくまず空間をどう構成するかに眼目が置かれている。そこではその空間を通り過ぎる具体的な来館者のことは考えられていない。