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ミュージアムにおける学びとリテラシーについて
Profile
名前:
HIRANO Tomoki
職業:
大学院生
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Koran, J. J. Jr., Koran, M. L., and Longino, S. J.
Curator, 29, 227-235 1986年

フロリダ州立博物館で、1)ガラスケースに入った展示、2)触ることができる展示、3)触ることができ、顕微鏡が近くにある展示の3つについて各40人ずつに見てもらった。その結果、触れる展示のほうが滞留時間が長く、顕微鏡はさらにそれを促進することが分かった。大人よりも子どもがよく展示に触れていた。
これもKoran et al.(1984)と同様、科学系のハンズ・オン展示に関する来館者研究である。触ってもいいというだけではダメで、さらに顕微鏡を置くなどの仕掛けが重要なのである。ここで測られるのもやはり滞留時間である。
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Koran, J. J. Jr., Morrison, L., Lehman, J. R., Koran, M. L., and Gandara, L.
Journal of Research in Science Teaching, 21, 357-363 1984年

フロリダ州立博物館で234人の来館者を対象に行った実験。貝や化石などの展示物をただ眺める環境の部屋に置いた場合と、触ることができる部屋に置いた場合では、部屋に入る人の割合が有意に高かった。また、大人より子ども、男性より女性の割合が高かった。
科学系のハンズ・オン展示の学習に関する来館者研究として、基本的なものである。
Peart, B.
Curator, 27, pp.220-237 1984年

a)言葉による展示、ラベルのみ、b)ラベルつき、絵の展示c)ラベルなし、モノの展示d)ラベルとモノがある普通の展示、e)それに音が加わった展示、計5種類の展示を用意して、どれが来館者の知識獲得や態度に影響するかを調査した研究。具体的な展示ほど知識獲得を促進することが分かったが、態度の変容についてははっきりした成果が出なかった。
エドガー・デールの理論を参照しながら、博物館の展示を具体性と抽象性という軸で分類したClassification of Exhibit Typeは面白い。デールと言えば、1940年代に視聴覚教育に関する理論を提示した学者であり、経験の具体性と抽象性という軸で教育メディアを分類した「経験の円錐」が有名である。博物館の展示を視聴覚教具・教材=メディアとして捉える視座がこの研究には見られる。
Melton, A. W.
Human Factors 14, pp.393-403 1972年

ミュージアムにおける来館者の行動に関する1935年の論文(美術館)と1936年の論文(科学館)の再録。前者では作品そのものよりも作品の展示のされ方が来館者の行動を規定していると述べ、後者では体験型の展示やプラカードの位置が来館者の行動に影響していることなどが述べられる。ここでの来館者の行動は滞留時間で計られる。
ギルマンによる1916年の記念碑的な論文「博物館疲労」以来、来館者研究は数多く行われてきたが、それから20年が経っても行動を滞留時間で記述するという行動主義的な手法は変わっていない。来館者の学習や認知の問題に焦点が当てられるようになるのは、もっとずっと先になる。来館者研究のパラダイムの転換があったのはここ10数年のことであると思われる。
大野,照文 川上紳一 田口公則 染川香澄 磯野なつ子 たけうちかおる
『岐阜大学教育学部研究報告 自然科学』27(2),pp.131-137 2003年

博物館におけるハンズ・オン学習とその評価が専門のハンズ・オン・プランニングが参加し、小学生を対象に三葉虫の学習プログラムを行った成果報告。岐阜大学教育学ぶりか教育講座が主催した講座で、三葉虫について扱われている。
化石を見てそれをスケッチし、講師が体のつくりなどをレクチャーするという従来のハンズ・オンの学習スタイルで、アンケートによると参加者の満足度は高かったという。ただし参加者の多くは理科が好きで化石に興味を持っている子どもたちばかりだったため、一概にプログラム自体の評価とすることはできない。
博物館にはどうしても、ある程度の関心がある人がやってくるわけで、とくにこのような講座に参加するのは博物館エキスパートに近いことが多い。しかし、その点を統制して実践・評価を行っても、博物館において実際に起こっている学習ではなくなってしまう。この間のジレンマは非常に難しいところである。
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