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ミュージアムにおける学びとリテラシーについて
Profile
名前:
HIRANO Tomoki
職業:
大学院生
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村田麻里子
『情報学研究 学環:東京大学大学院情報学環紀要』, Vol.69 pp. 161-185 2005年

ミュージアムと病院の間をつなぐ、ホスピタル・リーチ・プロジェクトの東京と長野における実践を詳細に記述したエスノグラフィ。ミュージアムの資料を持って院内学級で出前ワークショップをするというシンプルな実践だが、メディアとしてのミュージアムという思想と批判的メディア実践という枠組みに支えられた、理論的に骨太な実践であると言える。
社会に埋め込まれた、歴史的存在としてのミュージアム(=メディア)の自明性を、病院という全く異なる組織(異文化)とつなげることで異化する、という発想は極めてメディア論的であり、また、ミュージアムと病院という異なる共同体の相互の従事により新たな価値を生み出すという点ではウェンガーの実践共同体的でもある。メディア論においてミュージアムを研究すると、このような記述の仕方になる、という良い例であろう。
ミュージアムの可能的様態の検討、すなわちミュージアムをミュージアムたらしめている構造を明らかにするひとつの重要な契機が、異文化コミュニケーションなのである。組織間をつなぐことで、自明とされていた構造が異化され、顕在化する。もちろん、これは病院についても同じことが言える。ミュージアム、病院、学校、大学、メルという組織が重なり合うホスピタルリーチで、組織の異文化コミュニケーションが大きなテーマとなるのはこのような背景からである。pp.163
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Cody Sandifer
Journal of Research in Science Teaching, 40(2) pp.121-37 2003年

技術的新規性、利用者中心性、感覚刺激性、開放性の4種類の要素に関して展示を分類し、47人の来館者が61のインタラクティブな科学展示を利用する様子のトラッキングから展示の効果を調べる。その結果、技術的新規性と開放性の要素は来館者の滞留時間を長くする効果があることが分かった。
2000年代になっても来館者の行動特性を滞留時間で測っている研究は多い。展示の評価として自然でわかりやすいものだからだろうか。
Rix, C., McSorley, J.
International Journal of Science Education, 21(6) pp.577-93 1999年

学校にmini-museumのインタラクティブ展示をつくり、子どもたちが展示を見る様子のビデオや研究者との議論、シートに記入された文章の中に出てきた語りから分析する。子どもの科学に対する態度の変容がインタラクティブ科学センターの最も有用な点であるという。調査では学校の中でやったことの意義が示されなかったがどういう意味があったのだろうか。
Ayres, R. & Melear, C.T.
Paper presented at the Annual Meeting of the National Association for Research in Science Teaching, San Diego, CA. 1998年

東テネシー・ディスカバリー・センターで小学生対象に行われた実験により、マルチメディア展示が従来のハンズ・オン展示よりも科学概念の理解を促進することを実証的に明らかにする(プレポストで理解に有意な差)。マルチメディア展示はさまざまな感覚に訴え、文章や映像を駆使して情報を提示するためだという。
オーソドックスな研究だが、展示のメディアによるコンテンツの学習効果の違いを実証的に導き出したものとして有用なものであると言える。
Stephenson, J.
International Journal of Science Education, 13(5), 521-531 1991年

Launch Padというサイエンスセンターを訪れた子どもから大人までを対象にトラッキング調査・事後インタビュー・事後アンケート・フォローインタビュー(半年後)を行い、サイエンスセンターでの出来事を思い出してもらった。その結果、サイエンスセンターでの出来事には長期的なインパクトがあったことが示された(半年後でもそのときの経験を思い出すことができた)という。
通常の展示などの対象群と比較をしていないので、これがインタラクティブ展示だからこそのインパクトなのかは分からないが、サイエンスセンターの経験が長期的に残るというのは『博物館体験』について考えてみても重要なことだろう。
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