ミュージアムにおける学びとリテラシーについて
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HIRANO Tomoki
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大学院生
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小川義和
『日本科学教育学会年会論文集』29 pp.29-32 2005年
科学系博物館の役割について、科学リテラシー、科学コミュニケーションの文脈から見ると(1)子どもたちの体験的科学学習の場、(2)科学的な調査研究活動の体験の場、(3)生涯学習として人々と科学をつなぐ場という特徴が考えられる。そこで、マーケティングの方法論で博物館のオーディエンスを対象とした調査を行い、科学館と人々の関係は時間的な積み重ねが重要であることが分かった。この結果は森、小川、土屋、鈴木(2005)「ミュージアムの潜在的利用者を含めたマーケティング調査の方法論に関する研究」にも掲載されている。
科学系博物館の場としての意義が科学リテラシーの文脈で語られ、時間をかけた関係性の構築が重要であることが示されたことは重要である。博物館の学習体験、「博物館体験」の長期的な影響に着目することはこれからの博物館研究に重要な視点だろう。
『日本科学教育学会年会論文集』29 pp.29-32 2005年
科学系博物館の役割について、科学リテラシー、科学コミュニケーションの文脈から見ると(1)子どもたちの体験的科学学習の場、(2)科学的な調査研究活動の体験の場、(3)生涯学習として人々と科学をつなぐ場という特徴が考えられる。そこで、マーケティングの方法論で博物館のオーディエンスを対象とした調査を行い、科学館と人々の関係は時間的な積み重ねが重要であることが分かった。この結果は森、小川、土屋、鈴木(2005)「ミュージアムの潜在的利用者を含めたマーケティング調査の方法論に関する研究」にも掲載されている。
科学系博物館の場としての意義が科学リテラシーの文脈で語られ、時間をかけた関係性の構築が重要であることが示されたことは重要である。博物館の学習体験、「博物館体験」の長期的な影響に着目することはこれからの博物館研究に重要な視点だろう。
[…]科学に対するイメージは個人的な体験に基づいて形成される可能性があり、人々と科学との関係性の構築には、時間的な積み重ねが重要なファクターであると考えられる。今後は時間的な深まりの中で人々と博物館との関係性を精査し、その長期的な影響について検討する必要がある。pp.32
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湯浅万紀子 尾坂知枝子
『名古屋市科学館紀要』30号 pp.6-17 2004年
2002年に名古屋市科学館40周年記念事業として行われた、「なつかしの科学館思い出募集」に寄せられた1000字程度の文章(39通)と、2001年/2003年の科学技術館サイエンス友の会でのアンケート及びインタビュー調査(76件/81件・123件)、2003年に奈良学園中学校・高等学校での実験演示体験の影響力のグループ・インタビュー調査(29名)を比較しながら、博物館体験の長期的な影響力を考えている。
結果、来館者の体験という意味づけが強い名古屋市科学館の事例では家族や友人との思い出として体験が記憶されており、それに対して、継続的に館の活動に関わっている人の体験を捉えた科学技術館の事例では、スタッフとの関わりについて言及した回答が多かった。子どもたち対象の実験演示を行った奈良学園の事例では、コミュニケーションという核を持った体験が語られた。
それぞれの調査は重きを置くところも違えば、調査の手法も違うので、単純に比較できるものではない。ただし、この調査は、博物館体験を総体として捉えるときに、展示を見た直後のアンケートだけではなく、長期的な視点を持った博物館の評価のひとつの形を提示したと言うことができる。
『名古屋市科学館紀要』30号 pp.6-17 2004年
2002年に名古屋市科学館40周年記念事業として行われた、「なつかしの科学館思い出募集」に寄せられた1000字程度の文章(39通)と、2001年/2003年の科学技術館サイエンス友の会でのアンケート及びインタビュー調査(76件/81件・123件)、2003年に奈良学園中学校・高等学校での実験演示体験の影響力のグループ・インタビュー調査(29名)を比較しながら、博物館体験の長期的な影響力を考えている。
結果、来館者の体験という意味づけが強い名古屋市科学館の事例では家族や友人との思い出として体験が記憶されており、それに対して、継続的に館の活動に関わっている人の体験を捉えた科学技術館の事例では、スタッフとの関わりについて言及した回答が多かった。子どもたち対象の実験演示を行った奈良学園の事例では、コミュニケーションという核を持った体験が語られた。
それぞれの調査は重きを置くところも違えば、調査の手法も違うので、単純に比較できるものではない。ただし、この調査は、博物館体験を総体として捉えるときに、展示を見た直後のアンケートだけではなく、長期的な視点を持った博物館の評価のひとつの形を提示したと言うことができる。
湯浅万紀子
『日本科学教育学会年会論文集』28 pp. 551-552 2004年
著者は『博物館体験』に基づき、とくに科学館において、その体験や意味あるアウトカム(成果)は、来館直後だけでなく長期的な調査をしなければ把握できないとして、名古屋市科学館において継続的なアンケート・インタビュー調査を行っている。来館者に過去の科学館の思い出を語ってもらうインタビューでは、10年以上前の体験について詳細に語ることができる人もいたという。このインタビューの結果は「理科が好きになった」「論理的思考方法・観察力の獲得」などのカテゴリに分類された。
また、このような学習効果だけでなく、「館スタッフや異年齢の子ども達とのコミュニケーションによって芽生えた自立心や自信、楽しさや感動、感激を味わったとする充実感、理系に進学しなくても有意義な経験だった」など、意味あるアウトカムが多様にあることも確認された。
調査の詳細は『名古屋市科学館紀要』30 pp.6-17を参照。
『日本科学教育学会年会論文集』28 pp. 551-552 2004年
著者は『博物館体験』に基づき、とくに科学館において、その体験や意味あるアウトカム(成果)は、来館直後だけでなく長期的な調査をしなければ把握できないとして、名古屋市科学館において継続的なアンケート・インタビュー調査を行っている。来館者に過去の科学館の思い出を語ってもらうインタビューでは、10年以上前の体験について詳細に語ることができる人もいたという。このインタビューの結果は「理科が好きになった」「論理的思考方法・観察力の獲得」などのカテゴリに分類された。
また、このような学習効果だけでなく、「館スタッフや異年齢の子ども達とのコミュニケーションによって芽生えた自立心や自信、楽しさや感動、感激を味わったとする充実感、理系に進学しなくても有意義な経験だった」など、意味あるアウトカムが多様にあることも確認された。
調査の詳細は『名古屋市科学館紀要』30 pp.6-17を参照。
Lois H. Silverman
Curator 38/3 pp.161-170 1995年
ミュージアムの展示において起こっているのは、来館者による「Meaning-Making」である、という考え方が普及してきている。「Meaning-Making」とは、文字通りに訳せば「意味生成」であり、ミュージアムの来館者がそれぞれ個人的なコンテキストを持って展示を自らの視点で解釈しているということを示す。
Silvermanによると、来館者は1.特別な知識、2.期待と規範、3.ライフイベントと状況の3つの経験領域をもってミュージアムを体験するという。そして、Meaning-Makingにおいては1.自己アイデンティティ、2.仲間、3.娯楽的動機と利益の3つの要素が重要だという。
Meaning-Makingという考え方に拠ることで、『博物館体験』と同様、来館者がそれぞれのアジェンダによって異なることを示し、ミュージアムのキュレーター、エデュケーターはより来館者に寄り添うべきであるとしている。
Curator 38/3 pp.161-170 1995年
ミュージアムの展示において起こっているのは、来館者による「Meaning-Making」である、という考え方が普及してきている。「Meaning-Making」とは、文字通りに訳せば「意味生成」であり、ミュージアムの来館者がそれぞれ個人的なコンテキストを持って展示を自らの視点で解釈しているということを示す。
Silvermanによると、来館者は1.特別な知識、2.期待と規範、3.ライフイベントと状況の3つの経験領域をもってミュージアムを体験するという。そして、Meaning-Makingにおいては1.自己アイデンティティ、2.仲間、3.娯楽的動機と利益の3つの要素が重要だという。
Meaning-Makingという考え方に拠ることで、『博物館体験』と同様、来館者がそれぞれのアジェンダによって異なることを示し、ミュージアムのキュレーター、エデュケーターはより来館者に寄り添うべきであるとしている。
ジョン・H・フォーク リン・D・ディアーキング/高橋純一訳
雄山閣 1992=1996年
来館者の博物館における体験を、3つのコンテキストからまるごと捉えようと試みた一冊。来館者一人ひとりの過去の経験、来館の理由を含む「個人的コンテキスト」、誰と来たか、あるいは集団としての行動に関わる「社会的コンテキスト」、そして博物館の空間それ自体を問題にする「物理的コンテキスト」の3つが重なり合ったところに、博物館の「ふれあい体験モデル(Interactive Experience Model)」があるとする。
博物館体験とは、博物館において来館者が経験するすべてのことに及んでいる。展示のみならず、トイレの場所、受付の人の親切さなどまで含んだすべてが、博物館体験となる。さまざまな実証研究から得られた知見をまとめ、徹底的に来館者中心の「博物館体験」を描き出している。
またこの本はカルチュラルスタディーズにおけるメディアのオーディエンス研究ともとれる。以下の「一般来館者の博物館体験」に関する9つの原則は、「博物館」と「来館者」を一般的な「メディア」と「オーディエンス」に置き換えても成立しそうだ。
1.個々の来館者は、それぞれ異なる方法で学習し、各自の持っている知識、経験、信念などのレンズを通して情報を解釈する。
2.すべての来館者は、博物館のメッセージを自分自身の理解や経験と一致するように個人化する。
3.すべての来館者は、自分自身のアジェンダと博物館に対する期待を盛ってやってくる。
4.多くの来館者が、他の人といっしょに(集団で)博物館を訪れるので、彼らが見たり行ったり記憶したりすることは集団によって媒介される。
5.来館者の博物館における体験には、解説員も警備員も売店業者も他の来館者も含まれる。
6.博物館には日常の経験では接することのできない物があるから、人々は博物館に引き付けられる。来館者はさまざまな方法でそれを「見に」来るのである。
7.来館者は、建築、雰囲気、臭い、音、感触等、博物館の物理的側面に強く影響される。
8.来館者はたくさんの体験に出会い、その中から小数のみを選択する。
9.来館者の注目は、展示の位置と館内の配置によって強く影響される。pp. 155-172