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ミュージアムにおける学びとリテラシーについて
Profile
名前:
HIRANO Tomoki
職業:
大学院生
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宮里勉 井上誠喜
『映像情報メディア学会誌:映像情報メディア』53(3), pp.429-432 1999年

国宝級の陶芸品などをCGで再現する際に、見る方向を自由に変えられるだけでなく、観客の持つ懐中電灯型のMagic Lightで映像を照らすと、陶芸品の中身が透けて見えるというシステム。平成10年に京都文化博物館で展示されたという。インタラクティブなコンピュータグラフィックスのシステムにはHead Mounted Displayが使われることが多いが、それは「見る」行為として不自然である、という意識からこの技術は開発されている。陶芸品に限らず、さまざまな分野で応用ができそうである。
資料の保存という観点から、どうしても展示することができない国宝級の陶芸品を見せるためにCGを用い、インタラクティブな仕掛けを付加しているわけだが、このような技術はモノ中心の展示・教育を行う博物館という、あまりに一般的に普及している考え方を変えてしまう可能性を持っているのかもしれない。
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尾崎圭司
『四国大学経営情報研究所年報』9 pp.23-30 2003年

美術の専門知識のない一般鑑賞者のために、「観点」を共有することで美術鑑賞を支援する仮想美術館ArtFinder 3を提案する。作品に対する自らの鑑賞結果(観点)をまとめて可視化し、自分の観点と関連する他者の観点を閲覧することができる。今回は、パーソンズの言う第2~第3段階の鑑賞者を、第3~第4段階に引き上げることが意図されている。
他者の観点を知ることで鑑賞能力が発達すると必ず言えるのか、どうなったら鑑賞能力が発達したことになるのか、微妙ではあるが、こういった可視化の方法は面白い。具体的な空間を持たない仮想美術館で、他者を意識することができるのは大きい。

三好浩和 鈴木俊輔 臼井旬 奥出直人
『情報処理学会研究報告』2004-IS-87(13) pp.93-100 2004年

美術館の来館者が作品とインタラクションし、独自の見方を深めていくことができるツール「アトバム」「アートテーブル」「ペンツール」を紹介する。「アトバム」はアルバム型鑑賞体験記録ツールであり、作品を見て「ペンツール」でその印象を書き残したものが、通信機能で「アートテーブル」とリンクし、その場にいる来館者間で鑑賞体験を共有できる。
とても面白いツールだと思う。ここでポイントなのは、自分が思ったことを直感的に記録として残すことができるツールとしてのアトバムと、知らない人同士でもそれを共有し、多角的な視点から作品を眺めることができるアートテーブルの相互作用だ。
門林理恵子 西本一志 角康之 間瀬健二
『情報処理学会論文誌』40(3) pp.980-989 1999年

学芸員の専門知識や関心の表現である展示を、見学者一人ひとりに寄り添ったものにするシステムの提案。学芸員が作った展示そのものにおける情報の関連度合いを可視化した「展示空間」、そこからそれぞれの見学者が関心のあるものだけを抜き出した空間が「関心空間」、そして、この2つを組み合わせ、見学者の関心にあわせてデザインされた展示空間が「個人化空間」とされた。
このシステムは歴史民俗博物館のホームページにおいて、展示紹介ページをひとつの展示室とみなして展示空間を作り上げていた。この「みなし」が首を傾げたくなるところで、本当にこの手法が実際に物理的空間を持った博物館でも有効なのかはよく分からない。あるいはデジタルミュージアムのような環境での利用を目的としたものなのかもしれない。
技術的なことはよくわからないが、展示におけるそれぞれの情報の関連度合いを可視化できるシステムというのは面白い。
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