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ミュージアムにおける学びとリテラシーについて
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名前:
HIRANO Tomoki
職業:
大学院生
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アメリア・アレナス 福のり子/訳
淡交社 1998年

豊田市美術館、川村記念美術館、水戸芸術館の3館合同で企画された展覧会「なぜ、これがアートなの?」に関連して、アメリア・アレナスが日本の読者のために書き下ろした本。一般にわかりにくいと言われる現代美術について、従来の美術史的な見方に対抗し、常に作品そのものを鑑賞の中心に置くやり方で、読者の意表を突いてくる。
この本を読めばアートとは何なのかが分かるというわけではない。ピカソやマグリットからナムジュン・パイク、森村泰昌まで、さまざまな作品を見ていく中で筆者が訴えかけてくるのは、結局のところ、「あなたはどう思う?」という開かれた問いである。この本では、それぞれがそれぞれの見方でアートを見ることが薦められている。アレナスはきっとその手助けをしてくれているのだ。

一般的な考えに反するかもしれないが、作品の意味は作者の責任外の問題である。されに、その作品を制作するにあたって影響を与えたと思われる私的、あるいは歴史的事実関係をいくら調べ上げても、それは作品の意味ではない。肉体に精神が宿るように、作品のなかに自ずと意味が存在するというのでもない。それよりも意味は、人々が作品を見るという行為を通じて作品とおこなうコミュニケーションによって、作品に付加されるものなのである。pp. 41
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高野智
『日本科学教育学会年会論文集』29 pp. 343-344 2005年

日本モンキーセンターの研究員である筆者が、博物館のバックヤードで行われている研究の教育現場への活用の可能性を語る。現状では、博物館は教育現場のニーズを知らず、教育現場は博物館のバックヤードの存在を知らないという相互の無理解があるが、研修会などを通じて博物館のバックヤードの魅力を知ってもらい、バックヤードの教育現場への活用を進めようとしているという。
語られることはもっともであるし、理解もできるが、具体的なプランがまだないので、何も言うことができない。日の目を見ることが少ない研究部門の、現場の声のひとつということになるだろうか。ここでは“本物の資料の力”しか語られていないが、それを超えて“表側”と“裏側”という博物館の仕組みの理解に至れば面白い実践になるかもしれない。
佐藤優香
『国立民族学博物館調査報告』26 pp. 141-159 2002年

全米日系人博物館巡回展「弁当からミックスプレートへ」に関連して開催されたワークショップ「みんぱくミックスプレートひろば」の記録。展示の中でも中心的な役割を占めているミックスプレートを、参加者ひとりひとりの思い出の食事として再構成する。このワークショップを通じて、「フォーラムとしての博物館」、すなわち、「時と場を共有し、対話をとおしてたがいの文化を理解する装置」として博物館を利用できるようになることが意図された。またそこで、場の共有、対話を生み出すファシリテーター(今回はボランティアと博物館実習生)の育成の重要性も指摘された。
“食”という、誰もがつながりを見出しやすいテーマで、紙皿と紙粘土による工作というシンプルな活動がこのワークショップの良さであると思う。ただし、正統な評価を行っていないため、これがどのように来館者の博物館体験に寄与したかは結局のところ確実にはわからない。

ワークショップが博物館への理解をたすけるということや、ワークショップを通して博物館への理解が深まったという指摘は、「参加者」というよりはむしろ、「ファシリテーター自身」であったようだ。[…]「ワークショップにこめられた思いなど、博物館のものひとつひとつにいろんな人の思いがこめられているんだなあと改めて実感しました。ここにある1枚1枚のプレート(作品)にも、その人のメッセージがこめられている」という記述があった。後者のような感想を、参加者もいだくことがあれば、そのときこそ、博物館のさまざまな展示が対話の契機となり、博物館がフォーラムとして機能しはじめるときになるのではないだろうか。pp. 157-158
佐藤優香 上田信行
『子ども学』甲南女子大学国際子ども学研究センター[編] 第5号 pp.147-170 2003年

甲南女子大学の子ども学公開シンポジウムでの講演記録。ボストンのチルドレンズ・ミュージアム、お台場の科学未来館が紹介されるほか、博物館におけるワークショップによる学びの例が2つ、挙げられている。
国立民族学博物館で行われた「ミックスプレートひろば」は、一般の人を対象にし、参加者それぞれが思い出の一皿を粘土で作り、それをもとに周りの人と話し合いながらその人を理解し、そこから“異文化理解”を考えるというワークショップである。また「ふでばこ展覧会」は、小学生を対象に、お互いの筆箱の中身を調査し合い、調査カードを作って、展示をしてみる中で、博物館の役割を知るワークショップである(これは佐藤(2003)にも紹介されている)。
佐藤は、博物館での学びとは「関わり」であるという。博物館にあるもの、博物館にいる人とどう関わるか、それがうまくできたときに、学びが起こるという。ミュージアムの学びとリテラシーについて、改めて考えさせられる。

このような、博物館の中でのワークショップを企画する時に、私が大切に考えているのは、博物館の展示が持っているメッセージ、展示のコンセプトというものを、直接そのまま言葉で伝えるのではなくて、ひとりひとりにとっての身近な経験に置き換えて実感してもらうということです。自分だったらどんなことをしてきただろう、と自分のことに置き換えてから、そのメッセージに近づいていってもらう手法をとっています。pp.153

Doris Ash
Leinhardt, Crowley, & Knutson (Eds.),Learning Conversations in Museums (pp. 357-400) Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates 2002年

自然史系博物館(カリフォルニア科学アカデミー)の展示において、親子が生物学的なテーマについて語り、学んでいく様子を、ヴィゴツキーの最近接発達領域の考え方を理論的基礎にして分析を行っている。分析のユニットにはSignificant Event(SE)を用い、以下の4パートの機能分析枠組みを使用して、それぞれのケースを詳細に見ていく。

1.生物学的テーマ
2.調査スキル(観察、質問、解釈など)
3.先見性(Demand, Give Acknowledgement)
4.発話の機能

ここでは2つの家族のSEが考察されるが、どちらの家族も子どもの会話をうまくコントロールし、支援するなど“ミュージアムする”(Do Museums)やり方を心得ていたという。“ミュージアムする”とは、ミュージアムにおいてどのように展示と接し、振る舞えばよいか分かっているということだろう。今回の分析では厳密には分からなかったが、“ミュージアムする”やり方が実はあり、それをこのSE分析からうまく取り出すことができれば面白いかもしれない。
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